アンパンマンの歌

 あの歌って本当は子供向けじゃないってことに気づいてしまった。

アンパンマンのマーチ
作詞:やなせたかし 作曲:三木たかし 編曲:大谷和夫
そうだ うれしいんだ
生きる よろこび
たとえ 胸の傷がいたんでも


 これが冒頭のサビの部分であるが、つまりこの歌を歌っている人間は心に傷を負っているのだ。
 つまり、心の深い傷を負っても、生きているってことは素晴らしいんだなぁって思う歌なのだ。
 そして、続くメロはこう

なんのために 生まれて
なにをして 生きるのか
こたえられないなんて
そんなのは いやだ!(シャウト)


 人生観を問うような内容である。自分の生き方を見つめなおし、生きる意義を見出さんとするのだ。
 つまり、まだ歌の序盤であるが、この地点ですでに歌のテーマは見えてくる。わしはもうこの歌を涙なしには歌えない。
 アンパンマンどころか、先日言った「ベロニカは死ぬことにした」のテーマソングにしてもなんら違和感がないような歌詞なのだ。
「愛と勇気だけが友達、なんてさびしい奴だよな」とこの歌を聴くと言う奴がかならず一人か二人はいる。しかし、だ。
 誰も友達がいない、という心の傷が大前提にあって、それでも前向きに生きていこうって考えたすえに「愛と勇気が友達」なんて言っているとしたらどうだろう。寂しすぎて、わざわざさびしい奴って言うこともないじゃないか!!
 というわけで、わしは今、勝手に自己投影してアンパンマンのマーチに涙している。