サッカーの本当にどうでもいいマイナーな話

 ウィキペディアの良いところと悪いところは不特定の人物による書き込みによるところであって、ちょっとした薀蓄を得るために使うにはちょうどいいかもしれないけど、そこに書いてあることを真に受けてはいけないし、そこには記されない抹消された真実すらあるわけである。
 まぁ、例えるなら朝○新聞みたいなもんで、多大に主観を含んでくれているので面白いけど、信憑性の点ではどうかと思うよという話である。

 そんなことは置いておくとして、ふとサッカーチームの項目を読んでいたら、旧東ドイツのチームの記事にあたった。
 東ドイツを代表するチームとして活躍した時代。政治権力の気まぐれによる不遇の時代。そして、復活するも政治圧力による万年2位の時代。東西ドイツ統一によるブンデスリーガ参入。東西差別の嵐の中で東独チームとして一部に残り続けるも、資本主義という経済形態に適応できず経営不振でプロ資格剥奪。
 チームは死んだかに見えたが、不死鳥のように甦り、プロ復帰。三部制覇により、二部昇格を果たす。
 という物語がつづられているのだが、もう記事というよりも物語。

2004年、ブンデスリーガ2部までディナモ・ドレスデンは戻ってきた。旧東ドイツ時代以来の熱心なサポーターは健在で、いかなる政治的変動や在籍リーグにもかかわらず、今も街のクラブに熱心な声援を送っている。

 このしめくくりを読んだときには涙が止まらなかったよ。
 サッカーに限らずだが、ウィキのスポーツ記事はファンが熱を込めて語るものだから辞書としては意味をなさない。だけど、その熱意が妙に通じてくる。

 海外のサッカークラブはやはりその国の歴史や住民の生活形態がありありと現れる場所なので、読んでるだけで十分に楽しめる。興味がある人は『龍時』でも読んで、レアル・ベティスとセビージャFCについてとか知るといいと思うよ。

 そんなわけで、ブンデス好きのわしの好きなチームはアイントラハト・フランクフルトだが、サポーター性で言えばザンクトパウリがお気に入りである。3部だけど。
 ハンブルグの歓楽街を本拠地としており、歴史を誇るHSVを応援するのが富裕層であれば、ザンクトパウリは低所得層の応援が盛ん。歓楽街にスタジアムがあるので試合の日には酔っ払いとパンカーの若者がつどう。モヒカンの兄ちゃんたちがチームエンブレムの髑髏の旗を振っているという試合風景を見ただけで惹かれるものがあるよ。ユニフォームもクリームと茶の迷彩色というアナーキーぶり。
 大物食いで気まぐれな成績が当たって一部復帰を果たせば、一度はかならず見る価値のあるチームだと思う。
FC St.Pauli公式ホームページ