龍時 03-04/野沢尚

龍時 03-04 (文春文庫)

龍時 03-04 (文春文庫)

 ようするにここ最近の、わしのサッカー熱の火元。

 なんとなく、明神がかっこよすぎて噴出した。
 実際にインタビューを入念にやりこんでいるんだろうとは解説の中西哲生金子達仁から分かるけど、なんかあまりにも実際の選手の立て方に違和感。リアルとフィクションの間にある二次創作性の限界を感じてしまう。
 どこかしら、好き嫌いの感が強いなぁと思う。闘莉王や平山の扱いが完全にかませ犬くさくて哀しい。

 しかし、試合の場面の臨場感や、サッカーに関する薀蓄、ナショナリズムに対する描写は一級品。といっても、完全に対等な立場から見ているというわけではないが。おそらく、サッカーを扱った小説においては相変わらず楽しめるはず。散々な結果に終わった実際のアテネ日本代表に対してこちらの日本代表は読者をはらはらさせる活躍を見せてくれる。登場人物もここまでの01-02、02-03の総集編といえる揃いぶりだ。
 作者急逝で終わってしまった作品であるが、ここまでをまとめる話として読んでもぜんぜんいける。というか、こういうまとめ具合に作者が腹をくくってる感じがひしひしと感じてしまう。