銃とチョコレート/乙一
yuminagaから借りる。感謝している。
- 作者: 乙一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/05/31
- メディア: 単行本
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貧しい少年リンツの住む国では子供から大人までが怪盗ゴディバと探偵ロイズの動向に注目していた。
【GODIVA】と描かれたカードを残し、英雄の金貨などの世界的な財宝を盗む怪盗。そして、それを追いかける探偵ロイズは子供たちの憧れだった。
ある日、リンツは父親が買ってくれた聖書から古びた地図を見つける。知り合いの記者見習いのマルコリーニがこっそりと教えてくれた、警察と新聞記者しか知らないという怪盗ゴディバのカードに描かれている風車の絵。それがその地図にも描かれていたのだ。
「怪盗の情報に懸賞金」という記事を見たリンツはその地図の存在を探偵ロイズに知らせるべく手紙を書いたが…。
なんとなく、第一次世界大戦後のドイツをイメージしながら読んだ。隣の家でゲームとかそういう表現は見ないことにしながら、『あの頃、フリードリヒがいた』の序盤をフラッシュバックさせながら読む。
そういう読み方が妙にミステリーランドっぽくていい。
乙一は白と黒というように二種類の作風を持つ作家という印象を与えるが、今回は黒っぽい白と思う。というか、死にぞこないの青のような迫害される少年という黒っぽさを持ちながら、終盤でどんどんと明らかになる真実の中にある読後感のさわやかさは白のものである。
こういった黒と白の融合が乙一の理想系であり、彼の持ち味を遺憾なく発揮する形だと思う。
しかし、少年の眼から見る事件。背景にある社会。国という構造。大人。というものがリンツの前に立ちはだかり、その目を覆う姿はどこかしらブラックさを持っているけど、それほどブラックなものでもないし、少年が成長するという過程で通り過ぎるものだと思う。
そんなわけで、この話にわしはスティーブン・キングを感じたがみんなは何を意識しただろうか。