少女ファイト/日本橋ヨヲコ

　柳本ジャパンなら誰でもいけると公言してはばからない、女子バレー好きとしては外せない漫画である。

少女ファイト(1) (KCデラックス)

　バレーボールの名門校、白雲山学園中等部に所属する大石練。かつては"狂犬"の異名で知られた天才プレーヤーであったが、中学卒業も近づき、高等部への推薦の脚きりがささやかれるような時期になっても、彼女は万年補欠に甘んじていた。
　小学生の頃の彼女を知る仲間は彼女が自らの実力を隠し続けていると言う。ある日、ひょんなことから練習試合にスタメン出場が決まった彼女は、つい試合に夢中になるあまり隠し続けていた実力を発揮してしまう。そして、自らの実力を隠す理由となった出来事も思い出すことに。
　バレーボールとそれと向かい合う大石練とその周囲の人物たちの関係を描く青春スポ根漫画。

　とか、あらすじを書いてみるが、まだ１巻。ストーリーとしてはまだ０巻といってもいいような部分である。
　高校進学を控えた主人公がバレーと向き合う決意をするまでが１巻の主な流れ。
　青春スポ根漫画というのは数あれど、これはディープで重い。しかし、それだけにアスリートであることの葛藤なども深く描かれてくるんじゃないかと思う。
　G戦場ヘヴンズドアなどでもそうだが、少年時代において持った趣味から、将来はその道のプロになりたいという憧れを抱いたり、挫折したりすることは誰しもあるだろう。漫画家になりたい、小説家になりたい、ミュージシャンになりたい、プロ野球選手。かく言うわしも、中学時代、プロ野球選手になりたい、マリンスタジアムでプレーしたいなんてことを思ったりもした。野球、下手だったけど。
　まだ、作家になりたいだとか言って別にソレに向けての努力をすることなく２０歳になってしまったわしだけど、スポーツの世界はもっとシビアで、その夢と挫折が来るのは中学・高校時代である。
　才能と努力と葛藤というドロドロとした青春。リアリティのある青春がこの漫画にはにじみ出ている。