TRPGセッション ガンドッグ

 今から10年後の2015年。ナイトメアストームという異常気象に襲われ、冷夏・暖冬に襲われた世界。治安は悪化し、世界中からアメリカへの移民が多発、各地ではテロリストが横行し、アフリカでは内戦が方々で勃発、日本は暴力団が食料買占めにより経済を牛耳るようになってしまったような世界を舞台に、プレイヤーは国際的な保険会社組合が組織した私兵「ガンドッグ」としてカウンターテロからマフィアとの闘争、また謎のゾンビとの銃撃戦など、現代アクション映画の世界で遊んでみようというシステム。
 前々からソードワールドやらガープス・ルナル、ウォーハンマーなどのファンタジー続きの流れにマンネリが来ていたので現代モノをやろうという話で、我々もプレイしてみることにしたのだ。
 そんなわけで、シナリオはサンプルそのままなのでネタバレ禁止のため、伏せ。


 メンバーが特攻野郎Aチームやダーティハリーのファンであることもあり、気持ち悪いくらい濃いチームへ。マスターキートンシティハンターのノリでやっているGMをはるかかなたにおいてゆくぶっ飛びっぷりを発揮。
 キワモノ好きのメンバーのために、ふたつのサンプルのうち戦闘向きのシナリオではなく、情報収集や推理、カーチェイスなどの戦闘外の要素たっぷりのホワイトクリスマスのシナリオを選択。
 クリスマスイブの夜にニューヨーク郊外のショッピングモールで講演会を行うアメリカのネオコン政治家を、イスラム過激派テロから護衛するという内容のシナリオであるが、FBIやらの警戒態勢をかいくぐって尻尾をつかませないテロ組織を見つけ出し、計画を未然に抑えるためには情報収集や交渉などの高い能力が求められるのだが、交渉力と統率力に特化したハンニバルこと、コマンダーが−40などのペナルティはものともせず。
 コングのようなパイロットは無言で方々へ聞き込みに回るメンバーを送り迎え。
 ほかのメンバーもモスクを当たったり、講演会場の周辺を調べたりと実際のシナリオの情報ロールより足を使った捜査を展開。ハードボイルドな流れがどうもわしのツボにはまったので、ルールブックには書いてないNPCを出したりして、意外なつながりからテロ組織へと導いてみる。
 情報ロールだけではなく情報提供者との交渉などでもハンニバルが大活躍。飄々と情報提供者に取り入り、テロ組織の情報をゲット。
 しかし、アメリカのネオコン議員の護衛を行ってるプレイヤーキャラたち。ひねくれたやつらがメイクしたキャラクターは4人中2人がアラビア人。トルコとクウェートの出身だ。熱心なハンニバルなんて国籍は“ミクロネシア連邦”だ。(本人いわく、言語の数が多いから便利かなと思って…とのことだが、アメリカを舞台とする場合、チューク語やヤップ語、コスラエ語と出会うことなんてあるのだろうか)
 「24」のファンのメンバーがテロの情報についてCTUに行ってジャック・バウアーに会いたいとか言い出したので、「24」を見てない見てないわしが「ヤァ、じゃっく・ばうあーダヨー」「すいません、局長は現場を離れてだいぶたったせいか10年前の辣腕はなりを潜め、今はもうあんな姿になられて…」という超強引技で切り抜ける。ってか、調べたらジャックバウアーはロス支局じゃねーか!!
 そんなわけでテロの計画を調べつくしたメンバー。アジトのつかめない相手に対して講演会当日に一網打尽にするという計画にたどり着いたのは良い。
 しかし、コネクションにたいしてテロの持つ技術の情報をちらつかせたりで講演会会場にヘリを一機チャーターし、上空から見張るという計画へと変更。
 講演会を落ち着いたものとしたい政治家秘書と激しい舌戦を繰り広げた末、GMが政治家を「過激な対テロ政策を掲げるだけで頭の回らない男」と設定してしまったことが足をすくい、トナカイの格好をしたプレイヤーたちがサンタクロースの格好をした議員を護衛しながら、会場にパラシュート降下。地上部隊とヘリ部隊に別れ、地上と上空からの警備という格好になった。
 このシナリオ、クライマックスは逃走するテロ組織とのクリスマスで込み合うニューヨークの道路を走り抜けてのカーチェイスのすえに、追い詰めての銃撃戦という流れになる予定だったのでヘリコプターなんかが登場されるとシナリオが破綻しかねない。渋滞によるペナルティーを受けずにテロリストを追跡できるが、ニューヨークなんていくらで裏路地に入れてしまうじゃないか。事前に、入り組んだ道路になっているっていう伏線を張ったつもりだったんだが…。
 そして、講演会当日。犯人はさすがに会場の物々しい警備にたじろぐが、作戦を決行に踏み切る。しかし、会場を警備していたキャラクターが犯人グループのひとりを発見。即座に周囲の警備に連絡を取り、グループの取り押さえるよう指示。
 犯人グループは警備員ともみ合いになった末に逃走。外で待っているバンに飛び乗ると逃走を図る。ここまではおおむねシナリオどおり。
 しかし、ここで突然プレイヤーから脅威の発案「バンのタイヤをヘリから狙撃します」
 ちょwwwwwおまwwwwwwwwwwさすがにここでバンを走れなくして、テロリストを取り押さえるのはまずい。しかし、ここでそれを認めないと言ってしまってはGMの横暴。走行中のバンをヘリコプターから急いで撃たないといけないという条件なので、厳しいペナルティをかけた上での判定に持ち込む。
 しかし、性質が悪いことにプレイヤー、難なくバンのタイヤをぶち抜きおった。
 ここでGM、ついに強権発揮。テロリストの運転手が根性でタイヤのパンクしたバンで逃走を図ったということにしてしまう。
 ヘリコプター部隊とテロのバンのチェイス。ここで地上部隊もバンを追跡するかたずねるが、「あれは陽動部隊だ。テロの実行部隊は会場に残っているはず」というハンニバルの深すぎた推理でその場に残り、追跡はヘリ任せということに。
 裏路地に入ってしまおうかと思っていたのだが、GMの思惑と裏腹にヘリはひょいひょいと1R目でバンに追いついてしまう。そして、まだショッピングモール前の繁華街だというのに、上空からバンめがけて降る弾丸の雨。ベコベコにされるバン。車の屋根を突き破った弾丸でテロリストがひとり絶命。そして、運転手の根性がつきたかヘリを引き離せないバン。
 こりゃたまらんと、バンの助手席から部下に指示を出していたテロ組織のリーダーと残りの仲間はバンを乗り捨てて、手近なコンビニに立てこもり人質をとる作戦に方向転換。完全にシナリオの流れを外れる。
 なんで、GMがこんなに追い詰められてるんだ!?
 ヘリから弾丸の雨を降らしていたメンバー中、一番過激な男、ダーティハリー。中の人が武器マニアなこともあり銃器を何丁も携帯する男は手榴弾をコンビニに投げ込む作戦を主張。おい、お前、アメリカンにもほどがあるぞ。
 ハンニバルが必死の説得を図り、コンビニの人質を一般人からコングと交換すること、手榴弾を閃光手榴弾にするということで話をつけた。というかハンニバルの反則的な交渉術で−90というペナルティですら犯人を説得して見せた。というかそれだけ実力があるなら武装解除を勧告してもいいじゃないか。
 というわけで、そこからは閃光手榴弾で朦朧としているテロリスト。そして人質のコングに隙を衝かれ、投げ飛ばされて気を失ったテロリストリーダー。朦朧としながらも銃を乱射するテロリストに対して「うるさいから黙らす」と射殺してくれたダーティハリー。おい、誰だ。こんなワイアット・アープ症候群に銃を持たせたやつは。
 あっというまにテロリストの殲滅に成功はしたが、ヘリコプターからサンタの格好で飛び降りたあげく、アメリカの軍備増強を叫ぶ演説をぶった政治家は顰蹙を買い、人通りの多いような往来で銃を撃ちまくったり、コンビニに逃げ込んだテロリストを射殺したプレイヤーたちの姿はテレビで全国に流され「問われる、ガンドッグのモラル」と反響を呼び、さすがに温厚な性格で知られるNPCもぶち切れというシナリオの終着点を見せた。
 ダーティハリーや特攻野郎Aチーム好きは大満足だったらしく、「あー、楽しかった」と報酬減額、成長点減点も気にかけない様子。

 次回は、このミッションでの騒ぎでクウェートにでも左遷されてる話にしてやろうかと思っている。