パプリカ/監督:今敏/原作:筒井康隆

パプリカ [DVD]

パプリカ (新潮文庫)

　早稲田松竹、「パプリカ」「鉄コン筋クリート」の二本立てを見る。原作を読まないうちは映画もみないというこだわりがあるのだが、そんなことをいっているうちに以前観損ねたこともあり、今回こそはと駆け込む。

　精神を病んでいることが発覚すれば大問題に発展しかねないようなＶＩＰを、ＤＣミニなる装置を使い秘密裏に治療してまわる謎のセラピスト"パプリカ"こと千葉敦子は、ある日、同僚にしてＤＣミニの発明者時田浩作から、ＤＣミニが盗まれたことを知らされる。
　ＤＣミニを悪用し、他者の夢に介入して悪夢を植えつけることによって精神崩壊を起こさせる事件が多発するようになる。姿無き犯人の正体は？夢か現実か、終わりなき悪夢をとめることはできるのか？

　小説の映像化の場合、映像によって原作を読んだときのイメージを固定化されることをさけるため、原作は先に読むべきものではあるが、これは例外。原作とアニメの間で、細かい部分が異なる上、重きを置かれる部分が微妙に違うので、原作よりアニメを先に見るべきだと思われる。
　なにより平沢進の音楽と夢と現実の混在という世界がすっかりはまっているのがいい。妄想代理人のときの「夢の島思念公園もそうだったが、この頭の中に強制的にループさせる音楽が観客の脳内を麻痺させるような感覚。小説のほうではパプリカは千葉敦子の変装であったりして現実と夢の線引きが結構はっきりしていたのに対し、アニメのほうではパプリカ＝千葉敦子の内部人格となっており、その線引きがあいまいになってくる。
　夢が犯されると同時に、現実が夢によって侵されてゆくことにカタルシス。