アキレス将軍暗殺事件/ボリス・アクーニン/沼野恭子/毛利公美
- 作者: ボリスアクーニン,沼野恭子,毛利公美
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/02/27
- メディア: 単行本
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日本での任期を終え、ロシアへと帰ってきたファンドーリン。日本で得た柔術使いの友人シバタ・マサヒロを傍らに、モスクワに戻ってきた翌日、彼の泊まるホテルにて「アキレス」の異名を持つ露土戦争の英雄ソーボレフ将軍が変死を遂げた。
国民的英雄の死に悲しみにくれるモスクワ。ソーボレフの死に違和感を覚えたファンドーリンは、この事件の影に渦巻く陰謀へと巻き込まれてゆく。
前回、リヴァイアサン号にて日本へ向かったファンドーリンがモスクワへと帰ってきたところから物語は始まる。
第一部にファンドーリンを主人公とし、暗殺事件の陰謀へと立ち向かってゆくパート。そして、第二部では暗殺者アキマスを主人公とするファンドーリンとは相対する人物の人生が描かれる。
このまったく正反対でありながら、運命的に結び付けられてしまう二人。
感じとしては、なんちゃって忍者(ハラキリ!フジヤマ!!)VS腕利き暗殺者という感じ。トンデモなファンドーリンの忍術は置いといても、スペクタクル分十分。どきどきはらはらするような物語にページを繰る手が止まらない。
しかし、古典とか読む機会を最近得ることが多いが、現代の海外小説はやはりジャンル崩壊というのか、るつぼ状態というのか、一筋縄じゃいかない、サスペンス性の高い小説というのが増えてきたというか、人物を記号化してしまいがちな本格ミステリに対して、こういった映画的というのか大衆的なエンターテイメントを取り込んだミステリというのは、読んだあとに語ることなく素直に「これは面白かった!!」っていえるのがいいね。