正義の四人/ロンドン大包囲網/エドガー・ウォーレス/宮崎ひとみ
正義の四人/ロンドン大包囲網 (海外ミステリGem Collection)
- 作者: エドガーウォーレス,Edgar Wallace,宮崎ひとみ
- 出版社/メーカー: 長崎出版
- 発売日: 2007/06
- メディア: 単行本
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必殺シリーズが好きなわしとしてはぜひ読みたかった一冊である。
法では裁けぬ悪人たちに正義の鉄槌を下して回る怪人物たち「正義の四人」がイギリス外務大臣あてに犯行予告を送りつけた。
戦々恐々とするロンドンの町の中で暗躍する、レオン・ゴンザレス、ポワカール、ジョージ・マンフレッド、そしてテリーの4人。
イギリスの名誉にかけて、外務大臣殺害を阻止せんとするロンドン警視庁と4人の間で繰り広げられる頭脳戦。このロンドン大包囲網を突破する正義の四人の秘策とは如何に!?
あらすじ、短いけどほんとうにそのまんまな印象。物語の流れとしてはこの正義の四人サイドとロンドン警視庁サイドでの駆け引きが行われるのであるが、どこか単調になりがち。無駄にこの両者がニアミスしまくるのが興ざめではあった。都合が良すぎるだろう。クリスマスのニアミスの部分がかなりいい感じになっていただけに、前の部分は本当に不要に感じた。
ロンドン大包囲網という大きなテーマをぶち上げてるんだから、いっそのこともっとケレン味たっぷりの物語を展開してもよかったと思うのだが、登場人物が少なく物語の範囲はとてつもなく狭い。登場人物が少ないから、それぞれが個性的でキャラが立っているのかというとそういうわけではなく、正直、正義の四人の誰が誰だかいまいちピンとこない。いっそのこと、ゴンザレスを剣術の達人とか、ポワカールは三味線の糸で絞殺するのを好むとかぶっとんでくれたほうが読みやすかったんじゃないか。
また、「法では裁けぬ」云々の悪人だったはずの外務大臣が殺害される理由が「イギリス国内に潜伏している犯罪者を国外へと引き渡す法律を制定して、腐敗したスペインの政治を正そうとしている革命家をスペインへと引き渡してしまう恐れがあるから」と、とてつもなくグレーゾーンな罪で殺されようとしているのでなんともいえない。勧善懲悪ストーリーなら、宿場町の商人からみかじめ料をとって、気に入った町娘を手篭めにしちゃってるような、悪代官を正義の四人がドッカンドッカンしてしまったほうが読者としても「スッキリ」なのだがなんともいえない。
というように期待が大きかっただけに、ちょっとガッカリした感が強い話ではあった。勧善懲悪という分野で考えると時代劇って偉大だと思うよ。やっぱ。