中一日あけてくるらしい

と笑っているが、結構笑えない。
 朝、バイトから帰ってくると親戚が遊びに来ていた。昨日の晩やってきて泊まっていったらしい。
 挨拶をしたり、親戚のがきんちょのポケモン談義に耳を傾けたりとして昼過ぎに親戚帰る。
 んで、爺さんが珍しくおきてこないのでみんなで様子を見たら、朝からゲェゲェ吐いている。二日酔いかと笑っていたが、顔色が悪い上、言語が不明瞭。おとといの階段転落もあるのでひょっとするとかもしれないということで家族が医者へ連れて行く。わしは夜勤明けなのでさすがに限界。寝る。
 夕方起きて、夜の同窓会に行く準備をしていると親父がやってくる。爺さんがちょっとやばいんで手伝ってほしいとのこと。
 あわてて飛び出してから話を聞くに、わしが寝てから医者につれていって脳みそを輪切りにする機械に通した結果、お脳のくも膜ってところに血腫があることがわかる。医者も「よく歩いてこれたね」とのこと。
 早期発見できたので大事は回避かと思ったが、参ったことに爺さんは高血圧のため脳梗塞を予防する薬を飲んでいる。これは脳みそをめぐる血が固まらないようにする作用があるので、下手に血を抜くにも抜けない。医者も手も足も出ない。
 性質が悪いことにこの薬、飲んでから一週間は効果が続くという。まだ小さいし、この薬が抜けるまでは入院ということに相成った。
 しかし、病院からすぐに電話がかかってくる。恐ろしいことにお脳の血の塊はだいぶ爺さんをパープリンにしてしまったらしく、点滴を引っこ抜いて暴れたらしい。病院側もたまったもんじゃないので、とりあえず家族の方がなだめてほしい、とのこと。
 さっそく、病院にいってみたが爺さん、錯乱状態。言語と知覚がやられてしまったらしく、わしや親父の顔を見ても判別できない。男ふたりで汗だくになりながらも車椅子に縛り付けるが暴れる暴れる。「誰だ、お前。何するんだ、コノヤロー」という感じのことをしきりにモゴモゴ言っているっぽい。
 とりあえず、点滴を打ち終わる夜9時まで押さえていろということらしく家族で交代しながら押さえつける。
 9時を過ぎて、「患者を拘束したとかいうと、最近問題になったりするから」と弱腰の病院に頼み込んで爺さんをベッドに縛り付ける。
 看護師も患者を縛り付けるということをまったく経験してなかったらしく「あれ、これどこをどう結ぶんだっけ?」とか「ここをこうするのよ」「違うわよ」みたいなやり取りが交わされながら、ワッショイワッショイという大騒ぎ。
 しばらく、さかもと家一同、爺さんのバックアップのためお祭り騒ぎのような状態が続くと思われます。迷惑をかける人もいるかもしれないので先に謝っておきます。ごめんなさい。
 とりあえず、秋田湯沢の片隅、院内が生んだ不死身の男、爺さん。3度の癌をも乗り越えたアル中界のセガール、ちょっぴりピンチっぽいです。昨日、弟と飲みながら「死ぬときはポックリ逝く」って宣言してたらしいのに!