殺しのパレード/ローレンス・ブロック

殺しのパレード (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

殺しのパレード (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

 しょっぱなからヤンキースに新加入した日本人ピッチャーが「タグチ」という名前で吹いた。
 「おかしなこと聞くね」を直前に読んでいたおかげか、ブロックの巧さについてはうならされてはいたが、やっぱブロックの醍醐味といえば、綿密なキャラクター設定だろう。殺し屋ケラーが老いを感じ、幾度となく引退を考えながらも仕事をこなす様はブロックにしかかけないものがあるんじゃないか。
 ターポンズという架空の球団の説明でわかるようにすごくどうでもいいような設定にも緻密なこだわりを見せてリアリティを持たせるのもさすがとうならされるばかり。