ルサンチマン/花沢健吾

ルサンチマン 1 (ビッグコミックス)

ルサンチマン 1 (ビッグコミックス)

 yuminagaが誕生祝だと買ってきたもの。鬱にならせようという意図だったらしいが、だいぶ楽しかった。
 大学に入って最初に所属した映画サークルで先輩からしきりに「ルサンチマンを読め」といわれ続けた漫画。たぶん先輩はわしの名前が主人公とかぶるから薦めていたのだろうと思うのだが、しかしこの漫画は確かに人に薦めるべき漫画ともいえるかもしれない。
 サイバーパンクというものをもっと現実的に突き詰めていくが、結局ネット空間の恩恵を享受しているのはネトゲヲタやギャルゲヲタのようなゲーマーたちだけであるというような近未来感。リアル化が進むゲームが現実と非現実の境目を曖昧にしてゆき、ついに現実の肉体を捨てて自分の意識のみをゲームの中に残すことができるかもしれない?というところまできてしまったというSFの世界観と、非現実の少女と現実のプレイヤーという絶対に交わることができない関係という恋愛要素、ネット空間のアバターではイケメンなのに実際はブサイクな主人公たちというギャグ*1と様々な要素をふんだんに盛り込んでいる。終盤の伏線をだいぶ残したまま、無理やり綺麗な話に纏めましたというのがあまりにも惜し過ぎるくらいのボリュームがあった。終わり方が綺麗過ぎて涙が止まらなかっただけに惜し過ぎる。

*1:主人公をゲームの世界に誘った友人がイケメンの時は良い台詞を吐きまくるのが秀逸