アナタヲユルサナイ/AQインタラクティブ

アナタヲユルサナイ - PSP

アナタヲユルサナイ - PSP

 竹内探偵事務所に所属する調査員、竹内理々子は突如父である所長の失踪と探偵としての先輩である夫の家出という危機に直面する。
 ふたりを失った探偵事務所は次第に求心力を失い、従業員がひとりふたりと辞めてゆく。残されたのは調査員でゲイボーイの木崎ユウジと事務員の佐藤真弓のみ。
 父親が戻ってくるまでこの事務所を支えなければ、と焦る理々子の元に一件の依頼が舞い込む。

 『弟切草』『かまいたちの夜』でアドベンチャーゲームに革命を起こした麻野一哉とFFシリーズの音楽で有名な植松伸夫がプロデュースするというビッグネーム押し押しのこのゲーム。
 探偵が登場するアドベンチャーゲームといってものっけから派手な殺人事件が起こるわけではない。探偵の仕事といえば身辺調査と浮気調査。しかし、地味だからと言って侮ってはいけない。それぞれの依頼は一見は単純そうでいて一筋縄ではいかない複雑な事件である。
 PSPでありながら縦に持つという特殊な持ち方をすることで従来、横広だった画面を縦長な画面として見ることが出来、横書きの多いサウンドノベルゲームとしては読みやすい環境が出来ていること。かつ、そのために操作をしていてもゲームをしているっぽく見えない。電車の中でモンハンをやってる人なんかから漂う「ああ、こいつ今必死だな…」って感覚が無い!
 案外、このイラストとゲームの雰囲気もあってて悪くないし、シナリオも主題歌の作詞が「野島一成」と書いてあったあたりから、もしかしてシナリオも!!?と興奮しただけに、違ったことに最初はガッカリしたがそれでも悪くは無かった。
 ただちょっぴり残念だったのは各エピソードごとに尾行や写真撮影など単純なミニゲーム要素があるのだが、これが1回登場したっきりだったのが勿体無い。もっと何回か出てきても良いとおもうのだが…。そして、ネタバレになるがラストに近づくにつれて事件が暴力的な雰囲気になっていくのだが、イラストの雰囲気と次第にずれていき、なんか最後のバットエンドとか話の内容は悲劇なのに俺ずっと笑いっぱなし。

08/09/27追記
クリアしてからしばらく置いてみると、あの終盤の話は冷静に考えるとどっちかというとトンデモスイーツ的な面白さなんじゃないかとも思う。というのも、ケータイ小説とかにありがちな無理やり泣ける話にしてしまおうという魔法のワードが出てきていて、それだけがずっと頭に引っかかっていたのだが、こういうオチの付け方を許してしまうと物語ってものが陳腐でトンデモになってしまうのだなあと痛感した。
 とりあえず「いきなり恋人が不治の病で死亡」で泣くのは頭がパープリンな女子高生だけだ。