Hotel/Boichi

Boichi 作品集 HOTEL (モーニング KC)

Boichi 作品集 HOTEL (モーニング KC)

 yuminaga氏から「SFに興味を持ってもらいたい」と言って(うろおぼえ)読まされたが、本当にちょっぴり感動した。

 2030年、地球温暖化は止まらず地球は死の星と化すことが確実視された。人類はそのDNAと文明の記録を残すため宇宙船「箱船」と人類以外の生命のDNAを保管をする「塔」の建造を始める。
 完成した塔には半永久的に動作し続け塔の中の環境を保ち続けるAIが搭載される。
 やがて気温270℃に達し死の星と化した地球。ルイ・アームストロングの「It's a wonderful world」にちなんで「ルイ」と名付けられたAIの孤独な日々が始まる。

 読んでて頭の中にサッチモの声が響きまくり、あんなガマガエルみたいな声なのに泣かせるんだよなあ。
 荒涼とした孤独さ増す地球で活動するルイだが、生まれたばかりのルイの視点から語られる物語は長い長い「初めてのおつかい」的な様相を呈する。
 他、マグロが絶滅してしまった地球でマグロを復活させんとする科学者の奮闘を描く物語など、読みごたえある短編集である。