やさしいからだ(3)/安永知澄

やさしいからだ 3 (ビームコミックス)

やさしいからだ 3 (ビームコミックス)

 やはり、安永知澄は微妙で精細なラインでわしのハートをキャッチしてくると思う。やさしいからだ完結。
 登場人物の持つ身体的な特殊性とそれに関する切ない物語の短編連作。
 前の章の脇役が次の章で主役になるという構成は、たとえ前の話から時代が進もうが戻ろうが、現代風の話で20歳だった少女が次の章で老婆となって登場しようとも、時代を近未来風にするなどの変化をまったく与えずに続いたのにもかかわらず、最終話のみ時代が遠い未来。そして且つ登場人物はこれまでの話と関係のない人物。延々と続く輪から逸脱するという形になっているのが興味深い。
 身体と身体のつながりを意識してきた作品の最後として、身体と身体が隔離されている世界というのを話と話の間を隔離するという形を象徴的に用いる。人はやはり他人とのつながりを欲していると再認識させられる。

 あー、人恋しいなー。これが言いたかっただけ。