本が高い昨今

 古本屋という便利がものが東京にはあるといふ。
 松戸には、というか、わしの住んでいる松戸南部には古本屋なんて高尚なものはない。あっても漫画ばかりで、古本は棚がひとつ。
 いかに松戸南部が野蛮な未開地域かといえば、鈍器を片手に鉄の馬に乗った馬賊や、ズボンと呼ばれる腰蓑を膝まで下ろして歩いている人たちがそこかしこにいるわけである。
 人々は本を読むという文化をあまり持たないので、彼らが文字というものと触れ合うのは週に一回、コンビニでジャンプというものを読むことしかないのである。そして、なにかあるごとに「お前って、ピューと吹く!ジャガーのハマーさんだよなぁ」とちょっとした自分の知識自慢を行うのである。

 そんなわけで、わしの今の髪型もこのあたりでは一人前の男になったことを証明する儀式の一環なので、この頭を笑うのは異文化コミュニケーションがなんたるかを理解してない証だと言おう。

 ああ、赤土の大地に夕日が沈む。