偽のデュー警部/ピーター・ラヴゼイ

偽のデュー警部 (ハヤカワ・ミステリ文庫 91-1)

偽のデュー警部 (ハヤカワ・ミステリ文庫 91-1)

花屋の店員の恋の相手は歯医者だった。 歯科医の妻は女優で、彼女は喜劇王チャップリンを頼ってアメリカに渡ると言い出した。 二人の恋を実らせるには、この妻を豪華客船上から海へ突き落とすことだ。 偽名を使い、完全犯罪を胸に乗船した二人だったが……やがて起こった意外な殺人に、船上に登場したの偽の名警部が調査を開始する。

 名作と呼ばれるだけあり、エンターテイメント性に富んだ小説。
 プロローグの船上の事件へいたるまでの前置きが異様に長いように読み始めは感じるかもしれないが、テンポの物語の運びが読者を飽きさせない。
 登場人物の一人一人が個性的に描かれており、海外ミステリで登場人物を覚えるのが苦手な人にも苦にならないし、それぞれのキャラクターが繰り広げる船上での探りあいも見ていて楽しい。
 残念なのはミステリとしては微妙な作品であるように感じてしまう点である。