暗闇坂の人喰いの木/島田荘司

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

 晒し首の名所、横浜暗闇坂。ここにそびえる樹齢2000年の大楠と向かい合うようにして屋根の上で謎の死を遂げた男。
 人喰い伝説としての血なまぐさい逸話の耐えないこの樹の謎に名探偵御手洗潔が挑む。
 いまさら感が強いが、なんというか、島田荘司って星占術、斜め屋敷、異邦の騎士ときて、なんかそこから先は下り坂の感が否めないんだよね。うん。
 失望したくないって言うか、ここから先は微妙だよってしってるからこそ、ここにすら書き込むのもためらわれた。
 もう、トリックというものは使い尽くされてしまったのかという時代において、島田荘司のトリックは斬新なものであった。
 金田一少年名探偵コナンを小学生のときに読んでいたわしと同じ年代の人なら、なおさら不可解な死体とその裏に隠されたトリックというものの魅力を感じることだと思う。
 島田荘司のトリックは、(金田一で流用されていたとはいえ)そんな少年心をくすぐってくれるものであった。


 しかしなぁ…偶然で全部片付けられるトリックはトリックじゃねェよ。