ハーレー街の死/ジョン・ロード/加藤由紀

ハーレー街の死 (論創海外ミステリ)

ハーレー街の死 (論創海外ミステリ)

 ロンドン、ハーレー街の診療所で医者が変死した。死亡したのは腕は確かだがケチなことで知られるモーズリー医師。死因はストリキニーネによる中毒死。
 モーズリーは死亡する直前、かつての患者から多大なる遺産が転がり込んだ直後であった。目撃者は不在な状況で、自殺とも他殺とも取れない状況。検死審問は事故死との表決を下した。
 しかし、その死に興味を持ったプリーストリー博士と彼の主催する晩餐会に参加するメンバーたち。他殺でも自殺でもなければ事故でもない、"第四の可能性"の真相とは!?

 本格好きの間では中途半端と評され続けた巨匠ジョン・ロード。しかし、そのアイデアはすばらしい。変死の謎に取り組むパズルミステリ。
 テーマもしっかりしており、オチもしっかりしている。解決もしっかりしている。総じて"しっかりとした"イギリス黄金期の本格ミステリ
 なんというか、感想としては二死満塁の状況でニ遊間とセンターの間におっこちたポテンヒットという感じ。結果オーライだけど花が無い。
 読んだ直後の感想としては「つまらなくない」という感じ。
 どうでもいいが、終盤でいきなり巻頭の登場人物紹介にも書かれてないようなキャラクターが現れて、いきなり重要な証拠をべらべらと喋るのは都合が良すぎて、鼻についた。