キャッスル・ファルケンシュタイン
- 作者: マイク・A.ポンスミス,Mike A. Pondsmith,桂令夫,滝野原南生,加藤拓弥
- 出版社/メーカー: 国際通信社
- 発売日: 2003/09/01
- メディア: 単行本
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感覚としては、サプリメントが一冊、別冊の小冊子にルルブがついているといった感じ。世界観を説明するために書かれている主人公トーマス・エドワード・オラムのニュー・ヨーロッパ(19世紀のヨーロッパにファンタジーが融合した世界)での冒険物語が分厚いルールブックの半分以上を占め、巻末にルールセクションがすこしあるという話。(そこさえも、トムがニューヨーロッパの世界の有閑な紳士淑女のために、テーブルトークゲームを広めるためにこのゲームを作りました、という設定である)
ゲームとしてのルールはかなり原初的な印象であるが、その分、それだけ作りこまれた世界観の完成度が高い。19世紀ヨーロッパを舞台にした色々なシナリオが組めそうな感じである。スチームパンクをぽっぷにしたものというと、わしの中じゃどうしてもアニメ『名探偵ホームズ』であるのだが、このシステムであればそんな軽いものから、『007』のような国家工作員としてナポレオン3世のフランスに忍び込み、科学長官ジュール=ヴェルヌ(この世界ではジュール=ヴェルヌが科学長官として80日間世界一周を実現せしめているのだ)の最新鋭の発明の計画を盗みだせ。とかそういうものでも可能な気がする。
以前、あかさたなさん・ねこざきさんと、国産のTRPGは元ネタありきでゲームは同人的な二次創作、そのぶん、ヴァンパイアなどの海外のTRPGはゲームが他のジャンルへと影響を及ぼしている、ということを話したことを思い出す。d20システムがオープンソースであることから分かるように、システムよりも世界観に対する比重は高い。
あくまでも二次創作という域をでないゲームに対して、そしてそういうシステムしか受け入れられない市場に対して、すこし考えさせられちゃったりしたわけである。キャッスル・ファルケンシュタインのようなルルブは確実に国内産ゲームじゃ出てこないだろう。