赤き死の訪れ/ポール・ドハティ/古賀弥生

赤き死の訪れ (創元推理文庫)

赤き死の訪れ (創元推理文庫)

出版社よりあらすじ
ロンドン塔の城守、ラルフ・ホイットン卿が塔内の居室で殺された。卿は数日前に届いた謎めいた手紙に、異常なほどおびえていたという。その後も、同様に手紙を受けとった卿ゆかりの者たちのもとを、死が相次いで訪れる。それぞれ個人的な悩みを抱えながらも、姿なき殺人者を追うアセルスタン修道士とクランストン検死官のふたり……。クリスマスを控えた極寒のロンドンに展開する、中世謎解きシリーズの傑作第2弾。解説=千街晶之

 このさい言っておけば、トリックなんてどうでもいいんです。この作品はパズルではない。むしろ、ミステリを装った歴史小説である。陰鬱な中世ロンドンの都市風景と殺人事件がマッチした、すえたにおいのした、ペスト大流行のあとのヨーロッパ観。
 オススメとしてはこの本を読んで、ドイツのローテンブルグにある中世犯罪博物館を調べてみるとこの小説の雰囲気がつかめていいかもしれない。中世犯罪博物館はウォーハンマーFRPをやる人にも必見の場所。
 しかし、どことなく金田一少年のノベライズを読んだときの気分になってしまったのは何故だろう…。
 感覚としては、物語が進むためのテンポの取り方が、少年漫画誌の推理モノに近いせいだろうと思われる。
端的な過去→主人公の冴えない日常→見立てや脅迫状などを用いたおどろおどろしい殺人という流れか!!?