GIANT KILLING/ツジトモ・綱本将也

GIANT KILLING(1) (モーニング KC)

GIANT KILLING(1) (モーニング KC)

 低迷を続けるサッカークラブ、ETU(イースト・トーキョー・ユナイテッド)のGM後藤と広報の有里はイングランドの小さな町を訪れていた。彼らの目的はかつてETUを引っ張っていた達海猛を監督としてチームに迎え入れること。
 しかし、イングランドの小さな町イーストハムはこの町を本拠地とするFCイーストハムというアマチュアのクラブ*1FAカップ*2を勝ち進み、ついに1部に所属するポーツマス*3と対戦するというところまで進み、町はサッカー一色に染まっていた。そんな大躍進の中心にいた男こそ、監督を務めていた達海猛であった。
 後藤らの必死の交渉の末に達海を日本へと連れ帰ることに成功したETUであったが、毎年2部降格の瀬戸際にいる弱小クラブ。そして、ETUを捨て、海外クラブへと移籍した達海の監督就任に対する意見も賛否両論。前途多難な新監督が日本でジャイアントキリングを起こす挑戦が始まる。

 4−2−3−1を紹介したりするときに引き合いに出したりしたくせに雑誌で読むだけでちゃんと単行本で通しで読んだことを指摘され読む。原作の綱本将也って「U-31」の原作もやっていた人だと気付かされる。U-31のほうがこっちより戦術論に踏み込んだ漫画だったような気もしなくもないのだけれど、かえってそのくらいに収めてくれるほうが読みやすいともいえる。別にETUのシステムとかフォーメーションとか細かく知ってもしょうがないし。
 東京ヴィクトリーなど日本のJのクラブの名前をちょっといじったチームが多く登場するが、ETUのモデルがFC東京なのか、柏レイソルなのか、どっちなのかが分からなくてちょっとドキドキである*4

*1:イングランドフットボールは1部がプレミア、2部がチャンピオンシップ、3部がリーグ1、4部がリーグ2と呼ばれる。ここまでがプロ。以下、5部からはカンファレンスフットボールというプロアマ混成のリーグになる。

*2:フットボール協会杯とでもいうのか。イングランドの全フットボールチームの中から最も強いチームを決めるというカップ戦。出場資格はどのチームにも与えられ、なおかつ本来はホーム&アウェー方式で2試合の合計結果が競われることが多いサッカーのカップ戦の中でも珍しく一発勝負の大会のため、ジャイアントキリングが頻発する。(今年のFAカップはベスト4に残ったのが1部のクラブはひとつ、残りは2部のクラブであった)

*3:前にも書いた気がするが、かつてコナン・ドイルがキーパーをしていたという伝説があるクラブ。先に書いた07-08シーズンのFAカップは結局2部のチームを蹴散らして、ジャイアントキリングされることなく優勝してしまった。残念(好きなクラブだけど)

*4:6/9補足 同じ綱本将也氏原作の『U-31』を読んでいて、Jのクラブが同じ名前の変えられ方をしていたので分かった。柏は柏デルソル、東京はAC東京になっていたので、ETUは完全にオリジナルのチームの様子。