煙草を吸いにマクドナルドに入ったら高校時代の英語教師が隣に。授業はつまらなかったし、体臭がキツかったので嫌われている先生だったが、校長の独裁体制の中で学校に腰巾着になっている教師が多い中でも放課後カメラ片手に趣味の写真撮影をしてたりと自由気ままな教師だったのでわしは嫌いではなかった。
 わしが大学受験を控えた三年の最後の授業のときに「僕の一番好きな映画だから」と突然ブルース・リーの「燃えよドラゴン」を流し、最後の戦いに赴くブルース・リーに師匠が言ったセリフをクラス全員に読ませ、興が乗ってきたのか、しまいには教卓に飛び蹴りをかますという混沌とした授業を展開したことが忘れられない先生である。
 懐かしくなってきたし本人かどうか確認したかったので、火を借りるふりをして声をかけようとのぞき込んだら、必死の形相で漫画を読んでいて言葉を失った。
 うちの高校は校則の厳しい学校だったので高校から1時間内で行ける範囲のそこそこ栄えた駅に教師を派遣しての放課後の見回りをしたりしている。たぶんサボってたんだろうと思い、声をかけるのをやめた。
 頭はよりはげ上がっていたが相変わらずフリーダムな人だ。