マッハ!!!!!!!!/プラッチャヤー・ピンゲーオ監督

 ストーリーはこの上なくB級臭いと思った。特に最初の部分は酷い。観ている側は中々映画に追いつけなくて困った。
 しかし、そうでありながら、主人公と仲間であるうだつの上がらないチンピラが、若い不良たちから逃げるシーンでハッとさせられる。トニー・ジャーのアクションがすごい。スタント無しというか、役者自身がハリウッドのスタントマンだからじゃないか、と思わせられたが、彼の流れるような動きがカッコいい。
 なおかつ、賭けファイトで、バンコクの歓楽街に溜まる不良外人どもをムエタイで沈めていくシーンは見ものである。いや、これガチで殴られてるんでしょ?痛そー!!って叫んでしまいそうになることうけあい。
 とにかく、トニー・ジャーが気に入った。ストーリーは安っぽかったけど、やつのアクションだけでも値千金だ。エンドのスタッフロールの間に撮影現場の様子をとった映像が一緒に流れてたので、これはジャッキーチェンに対するオマージュだろうかと思った・・・がその中で作中では素早さが売りの学ランの日本人ファイター「トシロウ(おそらく元ネタはミフネなんだろうな、東南アジアじゃ山口百恵と並ぶ有名な日本人だし)」と戦っているシーンの撮影中にとび蹴りの着地に失敗して怪我しているNGテイクが流れたが、それが一番痛そうだったことにもショッキン。
 あとは売り文句にワイヤー・スタント・早回しを使用しないことってのがあったけど、やけにスローと繰り返しがしつこかった。いや、確かに回し蹴りのシーンが3回くらいカットを変えて繰り返されたらカッコいいけどさ、悪のボスが落ちてきた巨大な石仏の頭の下敷きにされるシーンを何回も繰り返さなくても良かったんじゃないかな、とも思った。
 安っぽそうって思いながら見たら、十二分に楽しめる映画です。