ストリート・キッズ/ドン・ウィンズロウ

ストリート・キッズ (創元推理文庫)

ストリート・キッズ (創元推理文庫)

一九七六年五月。八月の民主党全国大会で副大統領候補に推されるはずの上院議員が、行方不明のわが娘を捜し出してほしいと言ってきた。期限は大会まで。ニールにとっての、長く切ない夏が始まった…。プロの探偵に稼業のイロハをたたき込まれた元ストリート・キッドが、ナイーブな心を減らず口の陰に隠して、胸のすく活躍を展開する。個性きらめく新鮮な探偵物語、ここに開幕。

「BOOK」データベースより
 読んで、自分の今までの読書を恥じる。この本と中高時代に出会っていれば、自分の読書観は180度変わったかもしれない。
 売り文句の"個性きらめく新鮮な探偵物語"というワードは食傷を起こしそうに見えるが、内容はそこまできらめいてはいない。どちらかというと、爽やかであるが、どこかしら読者に共感を与えるような、地に足がついたような話である。
 ジュブナイルでありながら、ハードボイルドな感じは児童書的な単純な冒険には飽き足らず、笑わせてくれたかと思えば、スリリングになり、そしてハートフルな親子のつながりをテーマとした物語に変わる。
 それでいて、それぞれで読者をひきつける力を持っている。

 初めて本を読んだときのような、夢中になって読むという感覚を久しぶりに取り戻した本。