クライマックスシリーズ終了後。甲子園球児みたいにテレビの前で崩れ落ちた。
 拾い集めているのは砂じゃなくて、床に落としたベビースターラーメンだったが。
 マリーンズ。残念だった。まさか日ハムに連覇されるとはシーズン前は1ミリも思わなかった。というか、ホークスとマリーンズが争うもんだとはなからきめてかかっていた。
 2年前の優勝のときは雀荘だった。対面に座っていたのが福岡出身の黒雨さんの同居人の方。強打をする対面を前に当時1年生だったわしは心の中でそっと喜ぶしかできなかったという苦い気持ちもあったので、今日は家でひとり野球を観る事にきめていた。全裸になって、真横にティッシュをしっかりセットした状態でAVに向かうような清々しい、まさに静の構えといった心境である。
 なにより、わしとしてはダルビッシュが嫌いである。嫌いというよりも嫉妬といっても良い。たぶん、現在21歳の日本人男性のなかで、一番輝いているのは奴ではないか!?わしと同い年なのにできちゃった婚とかしてるんだぜ。わし、まだDTなのに!
 そんなわけでマリーンズ打線がダルビッシュを打ち砕くことを祈っていたのだが、結局、先に成瀬がセギノールに打ち砕かれる。個人的にセギノールはたとえ不調になっていたとしても名場面にはかならず絡むタイプの打者だと思っていたので、こりゃいかんと思った。
 成瀬はまだ現時点ではイロモノピッチャーの印象がぬぐえず、あのスローなピッチングの目新しさでごり押ししている感じがあるので不安があった。シーズン中は結果は出てるけど、こういう大一番では危ない。結局、プレーオフのような短期決戦で強いのは本格派のピッチャーだ。そういう意味では成瀬より、痙攣で前回3回1/3しか投げれなかった小林宏之を先発させるほうが良かったと言うのがわしの意見であった。リーグ戦の数字はプレーオフで生きるかと言えばそういうわけじゃないと思う。まぁ、結果はあれで成瀬もコバヒロさんも打たれちゃったわけで…。
 ファイターズのリーグ優勝が決まった試合もみていた。マリンスタジアムだった。何が言いたいかといえば、マリーンズは前身のオリオンズだった時代からの伝統で「相手の優勝がかかってる試合に異様に強い(というか空気が読めない)」。その伝統が破られた。目の前で胴上げを許してしまったのだ。かつて、近鉄の優勝を拒んだ有藤の魂を見せるべきところだった。
 何が悔しいって、優勝できなかったことよりも目の前で胴上げされるのが悔しい。昔、まだプレーオフもなくて、オリックスブルーウェーブだった頃(いまだに、オリックスバッファローズという響きに違和感がある)、これまたまだダイエーだったホークスが優勝がかかった試合を観にいった。このとき、マリーンズは良い試合していた。マリンスタジアムで胴上げをさせまいとしていた。しかし、たしか4回か5回だったと思う。攻守が変わる最中に他球場の結果が出た。2位のライオンズが負けたのだ。バックスクリーンに踊る「ダイエーホークス優勝おめでとうございます」。このあと、マリーンズは100打点カルテットの前に完膚なきまで敗れ、わしは目の前で王監督が胴上げされるのを観ることとなったのだ。
 今回のクライマックスシリーズ敗退はまさにそのときの心境に近いものがある。ヒルマン監督の「シンジテマシター」というインタビューを聞きながら、ふとしょんぼりしながら優勝にわくホークスファンを背にマリンスタジアムから海浜幕張駅まで歩いた記憶が蘇った。